内科・外科・精神科を経て、准看護師として『明石恵泉福祉会』へ入職。自宅で過ごす時間を大切にしたいと考えていたこともあり、夜勤のない第2特別養護老人ホームで働くことになったのです。最初は、医療機関と異なりゆったりと時間が過ぎるものだと思っていましたが、想像と違い気付けば1日が終わる毎日でした。というのも、第2特養は認知症専門の施設なので、ご本人に名前を尋ねても伝えられない方がおり、顔と名前を把握するのに時間を要したからです。約80名の入居者様に加えてショートステイの方も含めると、すべての方の顔とお名前が一致するまでに1ヵ月ほどかかりました。ですが、一度覚えてしまうと後は経験を活かせることばかり。病状の把握や他の職員との連携も取りやすくなり、健康観察などのケアも進めやすくなりました。

介護の現場に立ち、入居者様の温かさにたくさん触れるようになりました。労いの言葉をかけてくださる方も多く、今朝も、ある方が冷えた私の手に触れ、「冷たい手やね。風邪引いてるなら、きちんと休まなあかんよ。」と私の体調を気にかけてくださいました。自身も認知症という病気を患っているにも関わらず、職員のことを気遣う入居者様の姿を見ると、感謝の気持ちでいっぱいになります。入居者様からいただく言葉の数々が励みにつながると同時に、法人からも大きな支えを受けました。准看護師として入職した私に、理事長や当時の施設長が、看護師へのキャリアアップを打診してくれたのです。さらに同じ現場で働く職員からのバックアップもあり、仕事を続けながら看護師資格を取得。現在は看護主任として入居者様や職員全体の管理を任されるなど、医療機関に勤めていたころ以上に充実した毎日を過ごせています。

第2特養では、看護師だけでなく、介護職員へ入居者様の病状を説明し、日常生活の中でどういったケアが必要なのかを相談し合うなど、職種の垣根を超えて、ご利用者様が心地よく過ごせる環境づくりを行っています。そのため、普段から看護師同士はもちろん介護士や相談員といった他職種の職員とも、コミュニケーションが活発です。最近では朝礼時に職員同士が見つめ合い、「だいすきー」と口角をあげてほほ笑み合う取り組みを接遇の一環として行っています。入居者様の元へ伺う際に自然と笑顔になれればと私が考案したのですが、やはりお互い気恥ずかしいようで、笑い声が絶えません（笑）。そのおかげもあるのか、朝から職員の笑顔を見る機会も多くなり、とても嬉しく感じています。

医療の助けを必要とする入居者様が増えつつある特養。そうした中で一人ひとりの健康状態を観察し、適切な対処をすることは決して簡単なことではありません。ですが、看護師全員でこまめな体調確認や日々の連携を大切にしながら、可能な限り入居者様が施設で過ごしていただける環境をつくりたいと考えています。そのためには、ケアにあたる職員一人ひとりが心身ともに健康でいられる場所を提供しなければいけません。休日一つにしても、休めるときにはしっかりと休んでもらい、プライベートや休息も大切にしてもらいたいです。だからこそ、私からも積極的に「休んでね！」と声をかけるのはもちろん、今以上に良いチームワークをつくり、お互いの業務をカバーし合える体制を確立していきたいです。