以前は、地域ナンバー1と称された社会福祉法人の高齢者施設で働いていました。やりがいもありましたが、「次はこういうケアをやろう」と考えても、組織の性質上、限られた地域を良くすることが使命なので、頑張れば頑張るほどもっとよいケアを拡げていきたいという想いが強くなってきました。
当時パルシステム東京では福祉事業を拡げようとしていて、面接官の方の「自分たちはまだまだこれから伸ばしていきたい。必要とされていると信じている」という言葉に、気持ちがすっきりしたんです。加えて生協にはより広い地域を支えるという使命を感じることができましたし、当時「食」の視点からも地域の福祉を求める声が多くなってきていました。
地域の様々な想いから生まれた福祉なので、ただ単に “今介護のニーズが高いから介護に取り組む”という成り立ちではなく、地域や利用者様にとって必要なケアをスタッフだけでなく地域のみなさんと一緒になって作り上げていく姿勢に可能性を感じました。実際入協してみて、ここを選んで間違いなかったと思っています。
福祉スタッフの仕事
日々失敗です(笑)
開かれた施設を作りたくて、ご利用者様のご家族が仕事帰りなど24時間いつでも立ち寄れるように、面談時間や人数の制限なしという姿勢で運営しており毎日のようにご家族の方が訪問してくださっています。
オープンして間もない頃、施設全体にインフルエンザが蔓延したことがありました。医療連携を行なっていたお陰で即座に対応することができましたが、この経験が活きてスタッフの連携もより強くなり24時間安心な体制をつくることができました。
それから、この施設のことを地域のみなさん知ってもらいたく、地域のお祭りで施設を開放し、たくさんの方に来訪していただきました。そこまでは良かったのですが、居心地が良かったのか、遊びにきてくれた子どもたちがなかなか帰らなくて困ったこともありました(笑)
生協が運営しているというだけで、「間違いないだろう」というホワイトなイメージを強く持たれます。今の世の中、そう思ってもらえる企業は少ないと思うんです。そのブランドイメージを崩さずやっていきたいし、それを誇りに思っていきたいです。
そのためにも、自分も周りのスタッフも質が高いケアを目指そうとしています。実際、オープン当初は事故報告書の数が多かったのですが、1年半経った頃からヒヤリハットが多く上がるようになってきました。事故を防ぐ気持ちをみんなが持ち始めているというのは成長の証の一つです。
稼働率は大事ですが、質も第一にくることが許される、むしろ質が良くないとダメと言われることは、私にとってはやりがいがあります。そこが面倒くさいという人もいるのではないかと予想されますが(笑)
パルシステム東京の福祉事業所全体の質を上げたいという責任は、各施設長が持たないといけないと思っています。「生協10の基本ケア※」というプロジェクトも立ち上がっているところなので、福祉事業所全体で取り組んでいきたいです。
どこかの事業所が信用を損なうこととなれば、他の事業所もパルシステム全体にも信用を損なうことになります。それは絶対に避けなければなりません。消費者から持たれている良いイメージに応えたいんです。
※生協10の基本ケア
1.換気をする 2.床に足をつけて座る 3.トイレに座る 4.あたたかい食事をする 5.家庭浴に入る 6.座って会話をする 7.町内におでかけをする 8.夢中になれることをする 9.ケア会議をする 10.ターミナルケアをする
経験優先ではありません。痛みだとかうまく言葉に言えない気持ちを理解する能力があるのは、介護の知識とは違うところにあると思うんですよね。例えば、営業職で得意先とトラブルが起きてクレーム対応をしたという経験が、介護に活きる場面は多いのではないかと思います。
みなさんの色々なご経験を元にみんなで知識を高め、みんなでプロフェッショナルになってもらいたいので、入協された方には、外部研修にたくさん行ってもらっています。初心者として入ってきている方が誰もやめず、みんなで質の高い介護をめざしてやってもらっていることは有難いと思っています。
初心者や経験の浅い方でも、長くやっていきたい気持ちがある方は大歓迎です!
他の社会福祉法人にて介護業務を経験した後、デイサービス上町陽だまりの福祉職員(相談員)として入協、翌年には同事業所の施設長に。2016年には、今も施設長として所属するグループホーム中野中央陽だまりの立ち上げに関わり、認知症専門のグループホームとしてスタッフと共により質の高いケアを目指している。