食品の店おおたは、今から50年以上前、1962年に創業しました。スタートは寄り合いマーケットの中の乾物店。店舗の広さはわずか3坪でした。現在は、多摩地区を中心に6店舗を展開する、地域密着型のスーパーマーケットとして、発展を続けています。
店舗は、本社のある日野駅前店をはじめ、多摩平店、神明店、久米川店、高幡不動店、町田木曽店の6店舗です。創業以来の現場主義を貫き、それぞれの店舗でお客様の要望に耳を傾け、お客様の食生活とともに発展。求められる商品を納得いただけるリーズナブルな価格で提供しています。
6つの店舗に共通しているのは、売場に自信をもってお薦めできる商品をそろえていること。“まごころを鮮度に”をスローガンとして、生鮮食品の鮮度を重視した売り場作りを目指し、高齢社会の進展や健康志向の高まり、価値観の多様化など時代に対応した“商い”を続けています。薄利多売とは一線を画した健全経営を目指し、借入額が極端に少ないのも特徴です。
地元で3時間前に獲れた野菜を並べています
当社は、地域密着のスーパーマーケットとして独自の事業活動を目指しています。たとえば、地産地消を推進していることもそのひとつです。近年、特に力を入れているのが、地元の農家から野菜や果物を直接仕入れることです。3時間前には多摩の畑になっていたトマトや町田の土の中にあった大根が店舗に並びます。
青果だけではありません。地元の食品会社との提携に力を入れ、一緒に発展することを目指しています。高幡不動で愛されている豆腐屋さんの商品や奥多摩の蒟蒻(こんにゃく)、府中の海苔屋さんの商品などを各店舗で仕入れ、売り場のメインの位置に並べています。あげぱんで知られた丹沢山麓のパン屋さんには、当社のバイヤーが何度も通って、商品を納入いただけるようになりました。
カナダ産の牛肉や豚肉は、10年以上前から当社のバイヤーが買い付けて提供しています。長年の取引実績が評価され、当社の社員がカナダ国の関係者からレセプションに招待されたり、現地の研修に招かれたりしています。また、お客様を対象に、カナダビーフを使った料理教室も予定しています。
多摩地区の業者さんをはじめ、協力いただいている方々との人間的な関係を大切にしていることも、私たちの強みです。2011年の東日本大震災直後に品不足になったときも、当社に優先して納入してくださる業者さんがたくさんいました。まさに、長く良いお取引をさせていただいているおかげだと感謝しました。
当社は、創業以来の現場主義を重んじており、基本的に売り場担当者の自主性に任せる風土があります。本部で一括で仕入れを行い、センターから配送するシステムは便利ですが、当社では導入していません。6つの店舗は大きさも違えば、売り場の状況も違います。一律に対応できないという面もあり、現場を一番よく知っている担当者に任せているのです。
売り場を任せられたスタッフは、いわば店舗という“商店街”の中で、八百屋や肉屋、魚屋を開業し、運営しているのと同じです。自分たちでどんな商品をどのぐらいそろえれば売上や利益のバランスが取れるか、どんな商品がお客様に喜んでもらえるかを考え、商品を発注します。自信のある商品を売り場に並べるからこそ、イキイキと販売できるのです。
また、「前向きな失敗であれば、減点しない」という方針をとっています。社員一人ひとりのチャレンジ精神を育むためです。各店舗では一緒に運営しているという仲間意識が強く、フォローしあう精神にあふれています。だからこそ、誰もが自分のやり方でどんどん挑戦することができるのです。困ったときは上司がフォローするのはもちろん、先輩やパートさんも含め、みんなで助けあっています。