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人気沸騰! 立川バス×すみっコぐらし コラボデザイン大型電気バス [ 後編 ]

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EV(Electric Vehicle)バス(電気バス)は車載のバッテリーに充電して蓄えた電力でモーターを駆動して走行するバスのことです。
軽油を燃料としてディーゼルエンジンで走行する従来のバスと比較すると、電気バスは100%電力で走行することから二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを排出せず、環境負荷が少ないことが特徴です。
また、騒音や振動も少なく、発進・加速性能に優れていることも特徴です。
国内では2010年代後半からおもに中華人民共和国のメーカーで製造されている輸入電気バスが増え始め、この1~2年の間に各事業者での導入が相次いでいます。
東京都立川市を中心に路線バスを運行している立川バスでも初となる大型電気バスを今年1台導入しました。
車体にはオリジナルキャラクター開発や関連商品販売を行っているサンエックスの大人気キャラクター「すみっコぐらし」が随所(ずいしょ)に描かれたラッピングを施し、特に注目を集めています。
後編記事では「すみっコぐらし」がいっぱいの車内に潜入(せんにゅう)します!

フルモデルチェンジでフルフラットに!

立川バス初となる電気バスは中国のBYD製で、K8 2.0と呼ばれる大型ノンステップ路線です。
福生(ふっさ)営業所に2024年2月29日登録で1台が導入されました。
社番(立川バスでの固有番号)はF101、登録ナンバーは「八王子230か・101」となります。
外観は「すみっコぐらし」がたくさん描かれたラッピングをまとっており、前編で詳しく紹介しましたが、後編では特徴ある車内を紹介します。
それでは、営業運転では乗客は中扉から乗車しますが、今回は特別に前扉から車内に入ってみることにしましょう!
乗車してまず驚くことは最後部座席手前まで通路に段差がない、フルフラットノンステップバスであることです。
BYDのK8は、2022年のフルモデルチェンジにより、従来の前中扉間ノンステップからフルフラットノンステップになったことが最大の特徴です。
座席は全て前向き座席で構成していますが、運転席直後と前扉直後の左右前輪タイヤハウス(タイヤの収納部分)には座席は設けていません。

前中扉間は1人掛け座席のみで通路が広く取られていますが、運転席側の4脚は折りたたみ式で、折りたたむと2台分の車イススペースとなります。

中扉以降の通路も段差がなく最後部座席手前までフラットで、2人掛け前向き座席を中心にした座席配置となっています。
一部を除き、座席は座面とシートバック部分を樹脂成型したものを基本としてクッション材を貼り付けたような作りになっており、シートバック上部には一体成型したグリップを備えています。

「すみっコぐらし」があふれる車内

車内の座席レイアウトを見終わったところで、天井を見上げてみましょう!
何と、目いっぱいに「すみっコぐらし」のキャラクターたちが散りばめられているではありませんか!
今回立川バスに導入されたBYD K8 2.0大型電気バスは、外装だけでなく車内も「すみっコぐらし」がデザインされたラッピングやステッカーなどで装飾されていることが大きな特徴です。

天井部分だけではなく、運転席側と扉側の側窓上の冷房ダクト部分に備え付けている額面広告枠にもさまざまな種類の「すみっコぐらし」が描かれたポスターを掲出しており、乗客の目を楽しませてくれます。

中扉以降の仕切りの透明素材の部分にも横長四角の「すみっコぐらし」のステッカーが貼られています。
運転席側と扉側でデザインを変えており、にぎやかな感じです。
よく見ると扉側の仕切りの下方にも大小サイズの丸い「すみっコぐらし」のステッカーが貼られています。

もはや車内に空きスペースを作らないかのようにいたる所に「すみっコぐらし」のステッカーが貼られています。
サイズやデザインがバラエティに富んでいるうえ、貼られる箇所もピラー(側窓の柱)や、サッシ部分など、意外な場所にも「すみっコぐらし」たちがひそんでいる雰囲気です。

着席した体勢でも、視線の低い小さな子どもたちでも「すみっコぐらし」を楽しんでもらえるように、側窓下の低い部分にもステッカーが貼られています。
これは扉側の左前輪タイヤハウス直後の優先席部分の「すみっコぐらし」たちです。

座席にも「すみっコぐらし」がいっぱい!

「すみっコぐらし」へのこだわりは座席にも。
座席は一般的な国産大型ノンステップ路線バスと同様にユニバーサルデザインで座席表皮は青色をベースにしていますが、薄いトーンでさまざまな形の模様が描かれています。
一体何でしょうか?

正解はもちろん「すみっコぐらし」のキャラクターたちです!
“Sumikko gurashi”のロゴとともに、「とかげ」「ぺんぎん?」「やま」「すなやま」などなどが描かれたシートラッピングを採用しています。
まさに車両全体が「すみっコぐらし」ワールドになっている印象です。

最後部座席は5人掛けとなっていますが、2人掛け座席と1人掛け座席を組み合わせたような構成で、1席ずつ独立した格好となっています。
リアウィンドウは大きく車内が明るい雰囲気ですが、このこともK8 2.0と従来型が大きく異なる部分です。
リアウィンドウ下は機器箱で、角になる部分にはクッション材を取り付けていますが、この部分に「すみっコぐらし」は描かれておらず、汎用的なデザインとなっています。

中扉以降の座席は最後部座席手前まで2人掛け前向き座席を中心に構成していますが、後輪タイヤハウス直後にある座席のみ1人掛けです。
後輪タイヤハウス上には座席を設けていないことから、1人掛け座席の周囲には手スリを備え付けており、国産大型前中扉間ノンステップ路線バスでは見かけない座席配置となっています。

極めつけは「ガチャガチャ」だが他にも特徴が…

そして、極めつけと言えるのが運転席直後の右前輪タイヤハウス上に設置されたこれ!
「ガチャガチャ」などで通称されるカプセルトイの販売機です。
立川バスでしか買うことのできないBYD K8 2.0「すみっコぐらし」ラッピング電気バスを模したアクリルキーホルダーと缶バッジをここで購入することができます。
全5種類で税込み300円。
販売機のダイヤルを回して何が出るかはお楽しみとなります。

最後部座席直後や側窓下など車内の数カ所に、スマートフォンやモバイル機器などの充電が行えるUSB(Universal Serial Bus:データ転送経路)ポートを備えています。
路線バスでも電気バスの場合はUSBポートを備えているケースが多く見られます。

近年の国産大型ノンステップ路線バスと同様に、中扉の床面には車イスなどを乗降できる反転式スロープを設けています。
スロープ上面は端まで平らであることから、フチにはゼブラ模様が施されています。

運転席の座席も「すみっコぐらし」デザインとなっています。
計器盤廻りには多くのスイッチ類がありますが、一般的なディーゼルエンジン搭載の大型路線バスとは一見して大きく異なる部分がなさそうな印象です。
運賃箱や車内放送装置、ドアスイッチなどのワンマン機器は国産メーカーのものとなっています。

運転席の様子です。
ステアリングホイール(ハンドル)は4本スポークとなっています。
ホーンボタンはパッド部分の端に備え付けており、パッドの中心にはBYDのマークが輝いています。
計器盤には充電残量のほか、電気の流れやモーターの状態も表示されます。
計器盤右上には系統設定器のモニター、左上には停車表示灯と車イス用停車表示灯が並び、その隣には後方確認用のバックアイカメラのモニターを備え付けています。

白、赤、緑のパイロットランプは扉・乗降確認灯で、白は前扉開閉確認灯、赤は中扉開閉確認灯、緑は乗降確認灯となります。
計器盤左にはデフロスタ(霜取り)、アシストブレーキ解除、換気扇などのスイッチが並んでいます。
その隣の赤いボタンはEDSS(Emergency Driving Stop System:ドライバー異常時対応システム)の非常ボタンです。
EDSSは、乗務員の体調の急変などで異常が見られた場合、非常ボタンを押すと軽微制動が始まり、車内外に音と光で異常を知らせながら自動停止制動がかかって停車するシステムで、乗務員自(みずか)らが押せるようになっています。
運転席直後の仕切りには客席用の非常ボタンも備え付けていますが、運転席のボタンは誤って押された場合の解除機能も備えています。
各スイッチ類の下にあるのが、メイン電源のボタンで、電気バスならではのものです。

電気自動車には理論上変速機がありませんが、一般的なディーゼルエンジン搭載の大型バスのAT(Automatic Transmission:自動変速機)と同じ感覚で運転ができるようにセレクトボタンを設けており、“D”(Drive:前進)、“N”(中立:Neutral)、“R”(Reverse:後退)があります。
その隣にはホイールパーク式パーキングブレーキのレバーがあります。
このパーキングブレーキはおもに大型トラック・バスで採用されており、圧縮空気とスプリングなどの力により作動と解除を行う方式のものです。
なお、立川バスでは初めての電気バスとなるこのBYD K8 2.0について、乗務する運転士を数人に固定し、1人あたり約1週間の研修を行ったとのことです。

※ 協力 : 立川バス株式会社
©2024 San-X Co., Ltd. All Rights Reserved.
※ 出演 : 布施貴美子
※ 写真・文 : 伊藤岳志
※ 記事中の車両についてのお問い合わせなどを事業者など関係各所へ行わないようお願い申し上げます。

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