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人気沸騰! 立川バス×すみっコぐらし コラボデザイン大型電気バス [ 前編 ]

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最近よく話題に上ったり、実際に街で見かけたりすることも多くなったEV(Electric Vehicle)バス(電気バス)。
電気バスは車載のバッテリーに充電して蓄えた電力でモーターを駆動して走行するバスのことです。
軽油を燃料としてディーゼルエンジンで走行する従来のバスと比較すると、電気バスは100%電力で走行することから二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを排出せず、環境負荷が少ないことが特徴です。
また、騒音や振動も少なく、発進・加速性能に優れていることも特徴です。
国内では2010年代後半からおもに中華人民共和国のメーカーで製造されている輸入電気バスが増え始め、この1~2年の間に各事業者での導入が相次いでいます。
東京都立川市を中心に路線バスを運行している立川バスでも初となる大型電気バスを今年1台導入しました。
今回は特に注目を集めている立川バスの電気バスを前編と後編に分けて紹介します。

小田急グループの環境長期目標により導入!

立川バスは小田急グループのバス事業者ですが、小田急グループでは同社を含めた7社のグループバス事業者について、2030年度にかけ全体で約500台の電気バスを導入することを環境負荷軽減対策の一つとして挙げています。

これは2021年に発表された「小田急グループ カーボンニュートラル2050」への取り組みの一環であり、小田急グループが保有するバスの約15%にあたる約500台のバスを今後7年ほどで国や自治体の補助を活用しながら電気バスに置き換えることを目標としています。

このように小田急グループでの環境長期目標により脱炭素社会を目指すため、立川バスでも2022年夏頃から電気バス導入の検討を行いました。
そして、2024年2月29日登録で中国の電気自動車メーカーBYDの“K8”と呼ばれる大型電気路線バスの新型モデルを福生(ふっさ)営業所へ1台導入しました。

フルフラットノンステップの新型電気バス

BYDのK8は、全長10.5mの大型ノンステップ電気路線バスで、2020年から製造・販売が行われています。
「バスギア ターミナル」のWEBコンテンツでも小田急バスや千葉県の平和交通が導入した車両を紹介しています。
2022年5月、K8はモデルチェンジして新型となり、第2世代へ進化したことを意味する「2.0」が付記されて区別されるようになりました。

新型となるK8 2.0は灯火類を中心に前面と後面のデザインが変更され、外観でも容易に従来型と識別できますが、最大の特徴は「ブレードバッテリー」と呼ばれる薄型バッテリーを新たに採用したことや、従来型では前中扉間ノンステップだったのが、2.0では最後部座席手前まで通路に段差がないフルフラットノンステップへと床構造が大きく変わったことです。

K8 2.0大型電気路線バスは2024年1月に広島交通に導入されたことをはじめにして、2024年に入ってから首都圏の各バス事業者を中心に相次いで導入されました。
立川バスでは、小田急グループのバス事業者はもちろん、他事業者の導入実績を鑑(かんがみ)み、導入前に実際に試乗したところ安全性、快適性が確認できたことからK8 2.0の導入に踏み切ったとのことです。

外装は「すみっコぐらし」のラッピングに!

立川バスが導入したBYDのK8 2.0大型電気路線バスは、新鋭の車両であるうえ、同社初の電気バスとなったことがポイントですが、他のバス事業者に導入されたK8 2.0とは比べ物にならないほどの注目を集めていることが大きな特徴です。
その理由は「すみっコぐらし」。

「すみっコぐらし」は、オリジナルキャラクター開発や関連商品販売を行っているサンエックスの大人気キャラクターです。
愛らしく個性的なキャラクターたちが立川バスのK8 2.0の車体へラッピングされています。
運転士の青木 寛(あおき・ひろし)氏によると「この車両の行く先々でスマートフォンやカメラを構えた方々がいる」とのこと。

立川バスではすでに2015年から従来のディーゼルエンジンを搭載した大型ノンステップ路線バスに「すみっコぐらし」のラッピングを施した「すみっコぐらしラッピングバス」を運行しています。
「すみっコぐらしラッピングバス」は2020年にラッピングのデザイン、およびラッピングする車種を変えて2代目となり現在に至っていますが、今回導入したBYD K8 2.0大型電気路線バスに「すみっコぐらし」のラッピングを施したことで、「すみっコぐらし」がデザインされているラッピングをまとったバスは都合2台となったことになります。

なぜ「すみっコぐらし」なのか? また、新型の特徴は?

今回導入したBYD K8 2.0大型電気バスになぜ「すみっコぐらし」のラッピングを施したのか、立川バス運輸部旅客サービス課に尋ねたところ、「立川バス初の電気バス導入にともない、せっかくならお客さまにたくさん乗っていただけるような、話題性のあるラッピングバスにしたいと考えたから」とのことでした。

また、ラッピングする前の車体の状態も尋ねたところ、白塗装であるとのことでした。
車検証上の諸元は、全長10.5m、全幅2.49m、全高3.27mで、ホイールベース(前後の軸距)は5.3m、乗車定員は80人となっています。
2020~22年に製造・販売された従来型のK8 1.0と比較すると、全長とフロントオーバーハング(前輪中心から車体前端までの距離)は変わらないものの、ホイールベールが20cm短くなり、逆にリアオーバーハング(後輪中心から車体後端までの距離)が20cm長くなっています。
なお、従来型の乗車定員は81人です。
電気バスのキモとなるバッテリーは安全性が高く長寿命のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを使用しており、従来型より容量が27kW増えて314kWhとなり、薄型の「ブレードバッテリー」と呼ばれる形状にして屋根上や車体後方床下に装備しています。
モーターは小さくても高出力の永久磁石同期モーターを採用し、最高出力100kWのものを2基搭載しています。
また、モーターは左右ホイールの内側に設けて駆動力をそれぞれ独立して制御するインホイールモーター方式となっています。
モーターは鉄道車両などにも使用されているIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor:絶縁ゲートバイポーラトランジスター)インバーターで制御し、制御機器は後面リッド(点検ぶた)内に収めています。

前中扉車で、前扉は車内側に2枚に分かれて包み込むように開くグライドスライドドア、中扉は2枚に分かれて車体に沿って開くアウタースライドドアを採用しています。
アウタースライドドアはまだ物珍しい感じもありますが、戸袋を作る必要がないため車内が広く取れること、扉が車内側に開かないため乗客と干渉する心配が少ないことなどのメリットが挙げられます。

充電設備は福生営業所内に1基を2024年1月に新設し、CHAdeMO(チャデモ)規格と呼ばれる急速充電規格の充電器により、仕様書上の数値では50kWの充電出力により約6時間でフル充電になるとのことです。
フル充電での走行距離は仕様書上の数値では従来型より約20km伸び、約240kmとなりました。

「すみっコぐらし」のラッピングを施したK8 2.0は、特に決められた路線を営業運行するわけではなく、福生営業所が管轄する大型路線バスが走行できるいずれの路線にも充当される可能性があるとのことで、もし、立川バスを利用する際、偶然出会うことができたらラッキーだと言えるでしょう。
後編では「すみっコぐらし」でいっぱいの車内を紹介します。

※ 協力 : 立川バス株式会社
©2024 San-X Co., Ltd. All Rights Reserved.
※ 出演 : 布施貴美子
※ 写真・文 : 伊藤岳志
※ 記事中の車両についてのお問い合わせなどを事業者など関係各所へ行わないようお願い申し上げます。

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