スポーツ栄養に興味を持ちはじめたのは高校時代です。中学から部活動でバスケットボールをしており、貧血気味だった私は栄養面に詳しいリハビリ担当のコーチから食事のアドバイスをもらっていました。食事でスポーツ選手を支える仕事があると知り、栄養士の専門学校に進学。何社か応募したうち、病院や福祉施設に配属される企業が多い中で新卒からスポーツ分野に携われるサン食品工業に入社を決めました。
入社から3カ月ほどは先輩について一通りの業務を覚え、1人で事業所を回せるように実務を通して学んでいきます。当社では献立の作成をはじめ、栄養士自身も厨房に入って仕込みや調理を行います。ともに働くパートスタッフへの指示出しや、シフトの作成も社員の仕事です。材料費の計算など事業所に任せてもらえる部分が大きいため、どこへ行っても通用するだけの経験を積めると感じています。入社当初は業務の幅広さに驚き、炊きあがったお米の重さに不安も感じましたが、仕事に慣れた今は大変さの何倍もやりがいが勝っていると思います。
学生の成長を支えともに歩む仕事は、やりがい満点です。
私が働く神山寮には、ラグビー、バスケットボール、バレー部の男子学生が入寮しています。たとえば陸上の長距離選手であれば高カロリーな揚げ物を避けるなど、スポーツ栄養ではスポーツや種目の特性によってメニューを変える必要があります。神山寮ではラグビーがそれで、体重を増やして身体を大きくするためにほかのスポーツより1~2品多く提供しています。スポーツに関わらず、本人から直接希望を聞き取って個別にメニューを調整することもあります。単純に食べたいメニューのリクエストを募ることもありますし、学生との距離が近いので彼らの声をダイレクトに聞けることが一番のやりがいです。「おいしかった」という言葉はもちろんうれしいですが、「体重増えた」「身体が強くなった」という声を聞き、結果として試合で活躍できたなど、寮の食事が1人ひとりの成長につながっていることはとてもうれしく思います。
朝は50~60代の主婦の方が、夜は学生アルバイトが中心になり、各100食程度の朝食と夕食を提供しています。朝も夜も基本的にワイワイと楽しい雰囲気ですね。現場が明るいのはパート・アルバイトの皆さんのおかげだと思います。調理補助も仕込みや配膳、食器洗浄と仕事が幅広く、特に夕方からの時間帯は初めてバイトをする学生が多いので、丁寧にお教えするように心がけています。
今後はノウハウを後輩に引き継いでいくことと、さらに学生の満足度を上げていくことが目標です。食事で応援するのはもちろんですが、身体づくりに役立つセミナーを開催するなど、できることはまだまだあると感じます。私自身も新しい仕事を通して成長していきたいと思っています。
この仕事は新入生が増える4月が忙しさのピークで、そこから1年をかけて落ち着いていきます。卒業生を送り出すのは少し寂しくもありますが、社会人チームで活躍する寮生も多く、寮の食事を少しでも思い出してもらえたらうれしいなと思って取り組んでいます。
栄養士
2020年入社