前職は、障がい者の方が働く作業所での介助業務。やりがいがあったので、ここに転職したときも障がい者支援の部門を希望しましたが、経験のためにと特養を勧められ、結局今でも続けています。
現在は、食事・入浴介助・排泄、夜勤での介助など生活全般のサポートのほか、介護用品、福祉器具をとりあつかう業者との窓口を担当。係長でもあるので、勤務表の作成や、採用面接や職員との面談、実習生の受入れや指導等、現場責任者としての仕事をしています。あとは職員間がうまくいくように部下を統括しています。
私が介護をする上で心がけているのは、利用者様を待つこと。たとえば着替えのとき、私が手を出せば早いですが、それが利用者様にとって自立支援になるかと言えば違います。たとえ時間がかかったとしても、残在機能を可能な限り活かしていける様に心がけています。忙しいので難しいですが、待つ、受け止める、思いを聞くというのは、介護職として大切にしないといけないことですね。
そうして真摯に向き合っていると、自力で食事できなかった利用者様が食事ができるようになるなど、うれしい瞬間も多々あります。たとえADLが低下していても、みんなで介護の仕方を工夫すればADLが元に戻ることもあって、そんなときはとてもやりがいを感じます。
この仕事をしていると、いろいろなことを考える機会をいただきます。親の老後、自分の老後、健康のこと…。以前はあまり考えていなかったのですが、生きている限り自分でご飯を食べたい、トイレに行きたい、お風呂に入りたいと思うようになり、今では健康面にとても気を遣うようになりました。利用者様から学ぶことはたくさんありますね。
介護職でなければ得られなかった、お金には代えられない経験がたくさんあります。
当施設では看取りケアを行っており、これまで多くの利用者様を見送ってきました。
特に心に残っているお別れがあります。
私が夜勤で、体位交換のケアをしていたときのこと。その入居者様は看護師さんに2、3日が山場だと言われており、もうまったくお話しができない状態だったのですが、突然私の手を握り「今までありがとうございました」と言ってくださったんです。そのときとても感動すると同時に、お別れが近いのではないかと思いました。
ご家族から看取りケアをお願いされた以上は、利用者様がひとりで息を引き取ることがないよう、なんとなく最期が分かったら巡室を増やしたり、ご家族に来ていただいたり、ご家族が無理なら職員が必ず付き添うようにしています。だからそのときも、一緒に夜勤をしていた2人に声をかけ、利用者様のもとへ向かいました。するとその方は、私たちの目の前で、スーっと息を引き取られたんです。
このお別れを経験して以来、仕事への思いはより一層強くなり、また、自分も最期に感謝を伝えられる人になりたいと思うようになりました。娘でもない、家族でもない私に「ありがとう」と言って下さったのは、きっと普段から何事にも感謝の気持ちを持って生きていらしたからだと思います。人間性というのは、最期のときにも表れるのだと教えられました。
最初の頃は看取りケアが不安でした。突然亡くなられた方のお別れに立ち会えず、仕方のないこととはいえ後悔し、つらかったこともあります。それでも、大切なことを学べる看取りケアは、介護職にしかない魅力だと思っています。
ハピネス川西は人間関係が良く、優しい職員が多い職場です。
たとえば何かミスをして落ち込んでいるときでも、きちんと自分の気持ちを話せる雰囲気があります。私自身も黙って溜め込まず仲間に話して気持ちを整理し、つらいことを乗り越えてきました。働き始めて20年目を迎えますが、人間関係が理由の退職は聞いたことがありません。
今後はここを、“自分の親をあずけたくなるような施設”にするため、今以上に職員が高いモチベーションで働ける雰囲気づくりをしていこうと思っています。積極的に勉強する人材(財)を育成して、次の世代にバトンタッチするのが目標です。
また、職員に長く続けてほしいので、子育てしながら働きやすい環境もつくっています。
入社当時、私の子どもはまだ3歳。その頃は施設自体もまだオープンしたばかりで体制が整っておらず、友人や夫の協力を得ながらも大変な思いをして続けました。そんな経験があるからこそ、子育て中の後輩たちの力になりたいと思っています。そのために子育て中のお母さん職員は夜勤が出来ませんが、正職員で働いてもらい、「遅出勤務は月〇回まで」「出勤時間を遅くしたい」といった希望に沿えるようシフトを調整し、配置しています。
もちろん、ほかの職員も有給休暇を取りやすいように調整しています。休日を使ってリフレッシュして、気持ちを切り替えながら上手に続けてほしいですね。
介護職は、常に自分との戦いです。人間性の表れる仕事ですし、自分を成長させてくれる仕事です。大変な分、喜びも学びもたくさんあり、お金には代えられないものを得られます。だから私は、この仕事をしてきたことをまったく後悔していないですね。
特別養護老人ホーム 介護職
係長
2000年入社