大学時代、時給にひかれて宴会場で配膳を行うバンケットスタッフのアルバイトに応募したのがきっかけです。初めて触れるホテルの程よい緊張感が心地よく、職場の人間関係も当時から非常に良かったので、声をかけていただくままに契約社員として入社しました。アルバイトとして通ううちに自分の職場という愛着を感じていた宴会サービスを希望しましたが、配属は最上階のフレンチレストラン「アランシャペル」。真っ赤な絨毯に黒塗りの家具、シャンデリアといった重厚感ある格調高い雰囲気に圧倒されました。最初は「いつ宴会サービスに戻れるのかな」なんて思っていましたが、以来、一度も異動することなく、現在はリブランドして『トランテアン』となったフレンチレストランにて副支配人を務めています。前向きな気持ちで新しい経験に臨めたのは、いい上司と先輩に巡り合えたから。熱い思いを持った方々に、たくさんのことを教わりました。また、バンケットではみんなで一つの宴席を成功させる喜びがありましたが、レストランでは一晩にお誕生日、プロポーズ、家族のお祝いと、いくつもの物語が同時に進みます。同時進行でサービスを提供できることがカッコいいなと思いましたし、バンケットとはまた別の充実感がありました。
レストランサービスの魅力は、料理やサービスに対するお客さまの反応がすぐに分かることです。その分、リピートいただいたときはうれしく思います。仕事をするうえでの心掛けは多くありますが、一番は、お客さまに正直であること。何のために掃除をするのか、お店の設えにこだわるのか、サービスや料理について事細かく確認するのか。最終的には、お客さまに喜んでいただくためです。迷ったときこそカッコつけずに正直でいる、お客さまの前で背伸びをしないことを大切にしています。スーパーマンではないので、突然パフォーマンスの力が上がることはないですし、自分が経験していないことや練習していないことはできません。事前の打ち合わせや下調べ、周囲のスタッフとの協力を欠かすことなく、できる範囲内で最大限のパフォーマンスを提供することが大事だと思っています。
ソムリエも何度目かの挑戦で取得できましたし、失敗談はいくつもあります。ただ、私自身は失敗したときにフォローしてくださる上司と何度も挑戦させてくれる職場に感謝し、自ら積極的に取り組むことで自信や成長につなげてきました。ミスをしても「次こそは」という諦めの悪さもあったかもしれません(笑)。たくさんつまずいてきた分、後輩には自分の経験をもって成長のコツを伝えていきたいと思っています。
入社から約20年が経ち、レストランでの経験は私が一番長くなりました。2021年にはホテル全体のサポートを受け、兵庫県代表として参加した技能グランプリのレストランサービス職種にて、栄えある厚生労働大臣賞を受賞することができました。もちろん私以外にも長いキャリアを持つ方がおられますので、プロフェッショナルなスタッフの豊かな経験に触れられるだけでも魅力的な職場だと思います。サービススタッフには幅広い知識とスキル、何事にも自分から興味を持つ好奇心が必要ですが、引き出しが多彩な方とともに働くと、自分でも気づいていない自身の良さに気付くこともできます。
過去には、自分が大変でもお店が回っていればいいと思った時期もありました。でも働いているのはみんな一緒ですから、チームの誰かが犠牲になっていいわけではありません。今後はレストランの価値を上げていきたい、お客さまにとってだけでなく、ともに働くスタッフにとっても魅力的なレストランにしていきたいと考えています。レストランマネジメントにも挑戦したいですし、後輩の育成もしていきたい。レストランはスタッフのチームワークが欠かせません。スタッフが入れ替わったり、増減がある度に、その時その時のいいチームをつくり、ベストな状態を求める試行錯誤を続けていくと思います。
料飲部トランテアン/副支配人/社員
インタビュー:2023年3月
会社のビジョンを “私たちはメディカルコンベンションで育むノウハウでお客さまの笑顔と健康に貢献しアジアをリードする健やかカンパニーを目指します” と定め、スタッフ一丸となってお客さまに優れたサービスや価値を提供し、また、より良い会社作りを目指し、意識や技術の向上を図って参ります。