前職で接客業やカフェ店長など経験していくうち、日本の伝統工芸に興味を持ち、自分の生まれ育った神奈川と結びつくこの仕事に出会いました。
箱根の寄木細工は、単なる模様ではなく、昔の人の知恵と職人の技術が詰まった奥深い世界です。
入社前は漠然と工芸品の一つと思っていましたが、実際に商品に触れ工程を深掘りしてみると、仕掛けを何ヶ月もかけて作り上げていく秘密箱など、その手間と工夫に驚かされました。
日本の伝統工芸である寄木細工に深い魅力
寄木細工は、量産品が当たり前の現代において、すべて手作業で仕上げる珍しい商品です。
一つひとつの作品には、柄の選定から仕掛けの設計まで、職人の時間と情熱が込められています。
その価値をお客様に伝え、技術の深さや歴史の重みを知っていただける瞬間に、大きなやりがいを感じます。特に海外のお客様が秘密箱の仕掛けに驚き、感動する姿を見ると、日本の工芸の素晴らしさを世界に広める使命を実感します。
将来的には、壊れた作品のリメイクや、古いものを長く使う工夫を取り入れ、寄木細工を「受け継がれる文化」として次世代につなげたいと考えています。
単なる製品づくりではなく、歴史と技術を守りながら、新しい価値を生み出すこと。
それが私の目指す寄木細工の未来です。
寄木細工の魅力と仕事への熱意
寄木細工は、木の自然な色を活かし、塗装を一切施さずに模様を生み出す日本の伝統工芸です。
その美しさは、単なる装飾ではなく、職人の経験と技術が織りなす「手仕事の結晶」です。寄木細工の最大の魅力は、自然素材の持つ色合いと、それを組み合わせることで生まれる無限の表現力にあります。
白一色に見える木でも、ミズキやブナ、マユミなど種類によって微妙な色の違いがあり、それを見極めて組み合わせるのは熟練した職人だからこそできる技です。
さらに、寄木細工の代表的な作品である「秘密箱」は、百年以上の歴史を持ち、単なる収納箱ではなく、パズルのような仕掛けを楽しめる文化的価値を備えています。
海外の観光客が実演を見て感動するのは、手作りならではの緻密さと、自然素材の美しさに触れた瞬間です。何十回もの複雑な動作を経て開く仕掛けは、伝統工芸の奥深さを象徴しています。
現代はAIや機械化が進んでいますが、寄木細工の世界は「人の手でしか生み出せない価値」が残る領域です。
木の質感や色合いを見極める感覚、長年の経験に裏打ちされた技術は、どんなテクノロジーにも代替できません。
それは、手仕事への誇りと、手作りの感動をお客様にお届けする喜びでもあります。