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はとバス2階建てオープントップバスに2種の新デザイン登場![ 後編 ]

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はとバスでは、2009年から従来の2階建て観光バスの屋根を取り去る改造工事を行って誕生させた、2階建てオープントップバスの運行を開始しました。
ただ、2010年にベース車となる国産2階建て観光バスの製造・販売が終了したため、その対応を考慮し、2021年にイギリス・北アイルランド(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)のバスボディメーカー「バンフォード・バス・カンパニー(ライトバス)」製ボディを持つ「エクリプスジェミニ3(スリー)」を1台導入しました。
「エクリプスジェミニ3」は製造当初からの2階建てオープントップバスですが、改造によって生まれた国産2階建てオープントップバスが経年化してきたことなどにより、2024年の今年、新たに4台が増備されました。
今年4台が導入された「エクリプスジェミニ3」のうち2台が、20代の女性デザイナーが考えた新しいカラーリングデザインをそれぞれまとっていることが特徴です。
前編記事では8月10日に行われたお披露目(ひろめ)と試乗会の様子をお伝えしましたが、後編では「エクリプスジェミニ3」そのものをクローズアップし、それぞれのデザイナーにコンセプトなどを尋ねてみることにします。

■はとバス「エクリプスジェミニ3」の外観の特徴は?

ほとんどの大型バスはエンジン・シャーシとボディを別々のメーカーで製造し、組み合わせて完成させますが、「エクリプスジェミニ3」は、スウェーデン王国のスカニア製エンジン・シャーシにイギリス・北アイルランド製のバンフォード・バス・カンパニー(ライトバス)製ボディを架装しています。
前面を見てみると、1階席と2階席の間にフルカラーLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)による大型行先表示器を備えています。

フロントデザインは国産大型観光バスにはない個性が感じられます。 フロントウィンドウ下辺が両サイドに向かうにしたがって大きく切り上がっていることも大きな特徴です。
登録ナンバー上の黒の四角いパーツは、車間距離保持機能付きクルーズ・コントロールや衝突被害軽減ブレーキを作動させるための、前車との距離を計測するミリ波レーダーです。
その上のフロントウィンドウ車内側にあるタテ長四角のパーツは、車線逸脱警報用に路面の白線などの区画線を認識するカメラが内蔵されています。
最新の安全装備を備えていることも「エクリプスジェミニ3」の大きなポイントです。

前扉と中扉はスイングドアで、開く際は車体の外側に押し出され、車体に沿って開きます。
はとバスの実際の営業では、乗客の乗降は基本的に中扉のみを使って行います。
中扉直前にある1階席の側窓内にはフルカラーLEDによる側面行先表示器を備え付けています。

エンジンは後面リッド(点検ぶた)内部に搭載しています。
最高出力410馬力、総排気量12,742ccのインタークーラーターボ付き直列6気筒DC13型ディーゼルエンジンです。
後面両端ギリギリに設けている丸型のウィンカー、テールライト、バックランプの意匠(いしょう)も印象的です。

■はとバス「エクリプスジェミニ3」1階席車内の特徴は?

それでは前扉から車内に入ってみることにしましょう!
ステアリングホイール(ハンドル)の中心には、エンジン・シャーシメーカーであるスカニアのエンブレムがあり、空想上の生物「グリフィン」が描かれています。
ステアリングスイッチを備えており、右がインパネ(計器盤)操作スイッチで、インパネ中央に現れる燃料計や走行距離計などの表示を切り替えられます。
下がどちらともオートクルーズ(クルーズコントロール)機能スイッチで、高速道路などでアクセルの操作をしなくても車速を一定に保てます。
変速機は12速AMT(Automated Manual Transmission:自動変速マニュアルトランスミッション)で、スカニアでは「オプティクルーズ」と呼ばれています。

1階席の前方から後方への眺めです。
天井には2階席から1階席への非常時脱出口があり、扉側にはハシゴ状の手スリを設けています。
運転席側には座席表皮がビニール張りの2人掛けリクライニングシートが3列ありますが、1階席は基本的に営業運行用としては販売されていません。
1階の客席の座席表皮は全て同色で統一されていて、この社番(はとバスでの車両固有番号)483(品川230あ・483)はバイオレット、社番484(品川230あ・484)はグリーンとなっています。

1階席の後方から前方への眺めです。
中扉直前には車イススペースが用意されていることが分かります。
左右前輪のタイヤハウス(タイヤの収納部分)は物置き台となっています。

中扉直後は2階席への階段を設けています。
階段は途中でL字型に折れて2階席へアプローチします。
安全のための手スリも左右に備え付けています。

■はとバス「エクリプスジェミニ3」2階席車内の特徴は?

階段を上がると2階席です。
2階席の客席は全て2人掛けのリクライニングシートで構成されており、客席は通路をはさんで運転席側が13列、扉側が10列あります。
屋根のないオープントップで開放感にあふれていますが、雨天の際などは最後部に折りたたまれているホロを展開することで屋根代わりにできます。
社番484の2階席の座席表皮はこのようにレッド、オレンジ、グリーン、ブラウン、ブラック、ホワイトのカラーがランダムに配されています。
一方、社番483の2階席の座席表皮はレッド、オレンジ、バイオレットのカラーがランダムに配されています。

最前部の座席へモデルのすみれさんが試しに着席したみたところ、2階建てバスならではのワイドな眺望に感動していましたが、実際の「TOKYO パノラマドライブ」コースの営業運行では、この座席は原則として販売していません。
オープントップバスではあるものの車体構造上、この座席の上にはヒサシ状に屋根があるからです。

座席は海外メーカー製ではなく、国内の天龍(てんりゅう)工業製で、クッション内部は雨などの水をふくみにくく、耐久(たいきゅう)性にすぐれているリサイクル可能な素材が使われています。

扉側の最後部座席はガイド席となっており、窓際(まどぎわ)にはガイド用のマイクジャックや音量調節のツマミなどを備えています。
また、冷房の吹き出し口と非常時に乗務員と通話することのできるインターホンも装備しています。

■若きデザイナーに尋ねるデザインコンセプト

今回登場した「エクリプスジェミニ3」の新しいカラーリングデザインは2種類とも、群馬県にある学校法人有坂中央学園中央情報大学校でデザインコンテストを行って選ばれたもので、東京観光の魅力を表現した最優秀賞・優秀賞が採用されています。
これらのデザインは、同校卒業生の若きデザイナー野勢茉美(のせ・まみ)さん、内田菜々(うちだ・なな)さんの手によるもので、いずれも軽快感があって親しみやすく、はとバスの旅のワクワク感が伝わってくるものです。
野勢さんは「結び」をテーマにマーブリングのデザインが印象的な社番483を担当。
一方の内田さんは「みんなの思い出を乗せたバス」をテーマにポップなイラストをコラージュしたデザインの社番484を担当しています。 お披露目・試乗会当日、それぞれにデザインの意図などを2人に聞いてみました。

■社番483「結び」デザイン 野勢茉美さん

Q デザイン案を制作することになってどのように思いましたか?

A これまでははとバスを何となく知っていただけで、単なる観光バスというイメージしかなかったのですが、調べたところすごく規模感の大きいことだということが分かり、頑張ってデザインを考えないといけないなと思いました。

Q デザインコンセプトは?

A 外観はレッド、ブルー、イエローのマーブリングになっていますが、レッドは東京タワーのイメージ、ブルーはスタイリッシュな東京のイメージで、それらをはとバスの基調のイエローと混ぜることで、東京観光を表しています。
また、下の方にゆるやかなラインを入れることで、世界中の人々がはとバスの旅をキッカケにしてつながれる縁になればいいなという思いを表しています。

Q 制作期間はどれくらいでしたか?

A 中央情報大学校時代の約3~4年前にデザインコンテストという形で制作を始めましたが、制作期間は約2~3週間だったと思います。

Q 完成した車両を見てどう思いましたか?

A 自分自身であっても、最初は作っていた中でもやはりイメージイラスト上でしか知らなかったわけですけれど、実際に見てみると大きな車体に自分のデザインが大きく描かれていて迫力を感じました。自分がデザインしたものが実際にカタチになることの達成感も感じました。

■社番484「みんなの思い出を乗せたバス」デザイン 内田菜々さん

Q デザイン案を制作することになってどのように思いましたか?

A 私自身、街中ではとバスを見た時に、結構「どんな旅に行くんだろう?」というすごくワクワクした想像力をかきたてられるので、それを見える形でデザインに起こして、他の方にもそういうワクワクした気持ちを感じていただきたいなという思いで制作にあたりました。

Q デザインコンセプトは?

A 「たくさんの人の思いを乗せたバス」をテーマに制作しています。はとバスは歴史のあるバス事業者で、たくさんのお客さまがご乗車になっていると思うのですが、そういうお客さま一人ひとりがご覧になった景色や思い出というものを、それぞれがステッカーに残して一人ずつ貼っていった、たくさんの思い出がつまったバスという表現の仕方をしています。

Q 制作期間はどれくらいでしたか?

A 中央情報大学校在学中の約3~4年前のことですが、「2週間くらいでコンテストに出さなきゃ」という感じで、がんばってスピーディに仕上げた記憶があります。

Q 完成した車両を見てどう思いましたか?

A パソコンを使って自分で作っている時は、小さな画面でしか見ていなかったので、実際にこのような大きな車体にデザインが描かれると、その迫力にびっくりしました。
また、「これからたくさんの方々にご覧いただくんだなぁ!」と非常にワクワクしています。東京の名所を周る観光バスなので、試乗会では沿道で写真を撮っている方もいて「たくさんの方々の目に触れるものなんだな」と実感がわいて感動しました。

※ 協力 : 株式会社はとバス
※ 出演 : すみれ
※ 写真・文 : バスグラフィック編集部
※ 記事中の車両についてのお問い合わせを事業者など関係各所へ行わないようお願い申し上げます。

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