ご利用者様は人生経験が豊富な先輩ばかりで、これまでの私の人生観がガラッと変わるようなお話を聞かせていただけることも珍しくありません。
なかでも印象に残っているのは、あるご高齢の利用者様に教えていただいた「“はたらく”とは、傍(はた)を楽(らく)にすること」というお話です。傍とは自分のそばにいる人のことで、上司、先輩、同僚、後輩など。この人たちを楽にすることが“はたらく”ということだそうです。私はこのお話を聞いてから、毎朝の出勤時間が以前より早くなりました。理由は、みんなが来る前に窓を開けて空気を入れ替え、テーブルを拭くなどして“周りを楽にすること”をしたくなったからです。
こうして朝早く出勤するようになったある日、ふと思い出したことがありました。それは、私が入職したりばかりの頃、役職者である事務部長が毎朝一番に来て、窓を開けて、テーブルを拭いて、みんなが仕事をする準備をしていたことです。事務部長が朝から“はたらく”を実践されていたことに、年月はだいぶ経っていましたが、気付けたことが嬉しかったです。そして働き方に対する意識も大きく変わりました。
このようにいいお話をたくさん聞けるところが、この仕事の醍醐味。ご利用者様とのふれ合いで、お金では手に入らない、かけがえのないものをいただいています。