2024年10月から社会保険適用枠が拡大!扶養内勤務のまま働ける?
- お役立ち情報
はじめに
以前、『今さら聞けない「扶養内」についてわかりやすく解説!』というコラムでもご紹介させていただきましたが
「家庭と両立するために、扶養内で働きたい」「子育てが落ち着いたので、まずは扶養内から仕事を始めたい」など、扶養内で働きたいと考えている方はたくさんいらっしゃると思います。
その中で「扶養内に収めるには、収入をどれくらいにすればいい?」と悩む人も少なくないと思います。
扶養内で働くといっても、税法上の扶養か、社会保険上の扶養かなど納めるべき金額のほかにも扶養の対象にも違いがあります。
扶養内勤務については、ぜひ過去のコラムをご覧いただければと思います。
今回のテーマは、今のまま扶養内勤務で働ける?
2024年10月から、社会保険の適用範囲が拡大されます。
10月以降はこれまで配偶者の扶養控除の範囲内で勤務していた方でも、厚生年金保険や健康保険といった社会保険に加入にする必要がある場合があります。
扶養内で働くべきか今後の働き方について検討している方へ、社会保険とはどのような保険なのか、加入するとどのようなメリット、デメリットがあるかについてもあわせてご紹介します。
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コラム:【今さら聞けない「扶養内」についてわかりやすく解説!】
https://www.saison-psp.co.jp/saisonpsp/A11124048422/CDnews-d.htm
2024年10月から社会保険適用が拡大されます!
以下の全ての加入条件を満たす場合は、雇用形態に関係なく社会保険に加入する必要があります。
≪社会保険の加入条件≫
・ 1ヶ月あたりの所定内賃金が88,000円以上
・ 1週間の所定労働時間が20時間以上
・ 勤務期間が2ヶ月以上の見込み
・ 学生ではないこと
* 勤務先の従業員数が101人以上の企業 → (変更点)2024年10月以降は、従業員数51人以上の企業が対象となる
2024年10月以降は、従業員数51人以上の企業で働く方にも、社会保険の加入義務が拡大されます。
これまで社会保険が適用されていなかった企業や労働者が、新たに社会保険の加入対象に含まれることになりました。
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厚生労働省「社会保険適用拡大特設サイト
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/dai1hihokensha/
そもそも社会保険とはどのような保険なのか?
社会保険に加入する前に、そもそも社会保険とはどのような保険なのか気になる方もいらっしゃると思います。
社会保険とは、病気やケガなどのリスクに備えて私たちの生活を保障する公的保険のことです。
企業などで働く従業員にとって関係がある社会保険は、「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」「雇用保険」「労災保険」の5つです。
今回は「健康保険」「厚生年金保険」「介護保険」について、それぞれの内容や加入条件、加入のメリットなどをご紹介します。
■健康保険
健康保険は、労働者やその扶養家族の病気、けが、出産、死亡などに関して、医療費の一部負担や各種給付を行う制度です。健康保険は国民の生活の安定と福祉向上を目的としており、病気やけがなどのリスクに備える重要な制度だと言えます。
具体的に得られるメリットは以下の通りです。
*医療費の自己負担が一般的に3割となる
*病気などで働けない場合に給付金を受け取ることができる
*出産時に出産手当金や出産育児一時金が支給される
*亡くなったときに葬祭料が支給される
■厚生年金保険
厚生年金保険は、労働者が高齢になったときや障害を負った場合、亡くなった際に、生活を支える年金を給付する制度です。国民年金に加えて、一定額の年金を受給することができます。高齢化や障害、死亡などのリスクに備え、労働者とその家族の生活の安定を図ることを目的とした社会保険制度です。
年金には、下記があります。
*老齢年金:65歳から支給される
*障害年金:障害がある場合に支給される
*遺族年金:遺族に支給される
■介護保険
介護保険は、高齢や病気などで介護が必要になった場合に、介護サービスの利用料の一部を給付する制度です。40歳以上の国民が加入し、要介護状態になったときに、以下のような支援を受けることができます。
*介護施設での介護サービスを利用できる
*訪問介護やデイサービスなどの在宅サービスを利用できる
*介護サービス利用料の一部が給付される
社会保険のメリット・デメリットについて知ろう
次に社会保険に加入するメリットとデメリットについてお伝えします。
\メリット/
■ 保険料を会社と折半できる
厚生年金保険料と健康保険料は、労働者側と企業側が原則として折半して支払います。そのため、社会保険に加入すれば、支払うべき保険料の半分を企業が負担してくれることになります。
例えば自営業や個人事業主などの場合、国民健康保険料と国民年金保険料は全額自分で支払う必要があるので、社会保険に加入したほうが少ない自己負担で済む場合があります。
■ 老後に受け取れる年金額が増える
厚生年金保険に加入すると、国民年金から将来受け取れる基礎年金の額に、在職中に支払った厚生年金の保険料に応じた金額が上乗せされます。
また、厚生年金保険の加入期間が長い分だけ、将来上乗せされる年金の額も増えます。
■ 手厚い保険制度が利用できる
社会保険に加入すると、条件を満たしていれば手厚い保障制度を受けることができます。社員だけではなく、パートやアルバイトの方も社会保険に加入した方は全員対象となります。
例えば、けがや病気を理由に3日間連続で休む場合、給与の支払いを受けられないなどの条件を満たせば、4日目以降に傷病手当金の受給が可能です。出産手当金や出産育児一時金なども、要件を満たしていればすべての雇用形態の人に支給されます。
ほかにも、会社を辞めたときには失業手当金が支給されます。失業期間中に教育訓練を受けることもでき、場合によっては再就職手当金も受けとることができます。
\デメリット/
■ 給料の手取り額が減ってしまう
社会保険に加入すると、毎月の給与から社会保険料が差引かれるため手取りの額は少なくなります。
具体的には、厚生年金は約18%、健康保険料については約12%の金額を会社側と折半して支払うので、毎月の給料から約14%が自己負担額として差し引かれてしまいます。
手取り額を減らしたくないという方は、週20時間未満で働くか、週20時間以上働く場合には毎月の給与を88,000円未満にする必要があるので、会社側と相談しながら働く時間の調整が必要になります。
■ 配偶者手当が受けられなくなる可能性がある
配偶者手当とは、配偶者がいる従業員に対して支給される手当のことを指し、企業によっては「家族手当」や「扶養手当」などと呼ばれている場合があります。
配偶者の扶養をはずれると配偶者手当が受けられなくなることがありますので、事前に確認しましょう。
さいごに
今まで配偶者の扶養控除の範囲内でお仕事をされていた方も、10月からの社会保険の適用範囲が拡大されることによって社会保険への加入が必要となる場合があります。
社会保険に加入するメリット・デメリットを考慮した結果、働き方を見直す場合もあると思います。
ご自身、ご家族に合った働き方をぜひ検討いただければと思います。