入社のきっかけを教えてください。

もともと、『鹿鳴館』の洋菓子のファンでした。商品が大好きで、パッケージもお気に入り。その『鹿鳴館』の本店が銀座にオープンすることを知って、「これは運命かな」と想い、応募したのが入社のきっかけです。また、ファンだったことが一番の動機ですが、銀座という進化を続ける街に立ってみたい、自分の接客のスキルを試してみたい、さらにスキルをあげたい、という気持ちもありました。といっても、接客のお仕事をしていたわけではありません。実家が喫茶店で、幼い頃から母の見よう見まねで接客を覚えてきました。母が先生で、マニュアルです。でも『鹿鳴館』のような大きな会社に勤めても、個人商店の臨機応変さや、コーヒー一杯のありがたさなど、身につけた経験やスキルが役立っていると感じます。母のことを思い出すことも多いです。

現在のお仕事の内容を教えてください。

接客がメインで、店長のお仕事はいま一生懸命に勉強中です。前職でも接客や販売の経験はなく、店長職は荷が重いと考えましたが、チャレンジしてみたいという思いもあり、たくさんの方に助けていただける、というので引き受けさせていただきました。いま一緒に働いているスタッフさんは、オープニングで一緒にスタートしたメンバー。もともと、同じスタッフだったので、気心もよく知っています。また、前職が販売など、現在と同じようなお仕事をしていた方ばかり。これまでの経験やスキルを活かして、いろいろなアイデアや意見を持ち寄って、この銀座本店をさらに成長させようという情熱でいっぱいです。店長とスタッフという関係ではなく、同じ意気込みを持った大切な仲間、という感じです。

接客で心がけていることは、何ですか？

接客では、目と目が合えば0.何秒で分かり合える、と聞いたことがあります。そんな一瞬を見逃さないようにしたいです。また、そのときに一番大切なのは、やっぱり笑顔だと思います。それも、つくった笑顔ではなく、久しぶりに会った友人や親戚に向ける優しい笑顔。出会いを喜んでいます、という気持ちがよく見える笑顔を心がけています。お客様も、お店に入った瞬間に、知り合いの家に来たような温かい気持ちになるようなお店にしたいと思っています。銀座にあるどんなお店よりも間口が広く、お客様が気構えをしないで入ってきて、気軽に商品を見ていただける。そして、スタッフさんも優しい笑顔と立ち居振る舞いで、お客様を温かくお迎えできるお店にしたいと思っています。

お客様からいただいた嬉しいお言葉はなんですか？

「常連のお客様をつくりたい」という思いを持って、オープニングから接客を続けてきました。でも銀座という場所柄のせいか、半分以上が外国のお客様。日本人のお客様も、いつも銀座に来られている方ばかりではありません。だから、常に一期一会の気持ちで精一杯の接客を心がけていますが、時折お客様から「また、来ました」「船越さんに会いにきました」というお言葉をかけていただくことがあります。なかには、お客様のお顔を覚えていないこともあり、「恥ずかしい」と思うこともありました。でもお話しをするうちに思い出して、「また、お越しください」とご挨拶すると、「ぜったい、また来ます」と応えてくださいます。商品のご購入はもちろん嬉しいですが、お客様からそんなお言葉をいただけると本当に感動します。これが、接客の醍醐味なのかもしれません。

『鹿鳴館』をどのようなお店にしたいですか？

銀座本店には、外国のお客様がたくさん来店されます。こんなに多いなんて、想像もしていませんでした。欧米だけでなく、中国や中東のお客様も増えています。もう世界中から、お客様が押し寄せて来る、という感じです。外国のお客様なので、最初は一度きりと思っていましたが、なかには何度もお越しいただく方もいらっしゃいます。お話をお聞きすると、お仕事で本国と日本を行き来され、来日のたびに来店していただくことが分かりました。それからは、観光のお客様にも「また、お越しください」とお声がけをして、お見送りをしています。そんなお客様がお国に帰られたあと、「銀座には、鹿鳴館という美味しい洋菓子のお店がある」「鹿鳴館では、丁寧な接客をしてもらった」と、ご家族や親戚、ご友人に話していただければ、世界中に『鹿鳴館』の名前が広がります。そんな期待もしながら、接客を楽しんでいます。