Interview01 大きなハンドルを握る毎日。経験を積んで一人前の運転手へ
実家は保育園や小・中学校まで遠く、幼少期は毎朝バスで通っていました。運転手は友達のおじいちゃんで仲が良かったこともあり、通学はとても楽しみな時間でした。高校卒業後はIT技術を学ぶ専門学校に入りましたが、就職活動をする際に、懐かしいバス通学が思い出されたことや、ドライブが好きだったことから、バスの運転手を目指すことにしました。
現在は路上教習期間で、車両整備・点検方法の勉強や、実際に利用されているバスと同じ教習車で運転練習をしています。1日に2~3時間ほど運転し、松本市内の主要路線を覚えています。普通のクルマとはまったく異なる運転技術が必要ですが、10mを超える大きなバスを自分で動かすのは、とてもやりがいがあって楽しいです。研修を受けている運転手がほかに2人いるので、お互いが運転しているバスに乗車して、教官の指示やアドバイスを共有しながら勉強しています。研修期間は3~4ヶ月程度が目安とされていますので、順調にいけば夏には運転手として、ひとり立ちできます。3人で切磋琢磨して頑張っています。
Interview02 免許取得までの接客経験は、いまの私の糧になっています
アルピコ交通では安全運行を重視しているため「大型2種免許」を取得できるのは「普通免許取得から3年以上」の期間があることを安全基準にしています。私の場合は19歳で普通免許を取得して、20歳で「運転手候補」として入社していますので、大型2種免許取得までの2年間は、いろんな営業所で働き、お客さま対応をする経験を積むことができました。入社後すぐは、「上高地営業所」で乗車券購入の発券、冬は「白馬営業所」でバス運行のサポート、春を迎えてからは「上高地営業所」で増発手配などの配車業務、その後は「松本バスターミナル」のチケットカウンターで発券を担当しました。
たくさんのお客さまと接した時間は、私自身の成長にもつながりました。それまで接客経験はなかったのですが、お客さまとの会話で接客の楽しさを実感できましたし、外国人のお客さまに英語と身振り手振りで対応できたことは自信になりました。観光地の質問が多いので、カタコトの英語でもなんとかなるものです。
ときには「帰りのバスの○時までに帰ってこられるオススメの観光地はありますか?」など聞かれることもあり、休みの日は周囲を散策することもありました。白馬や上高地の営業所勤務の場合は、近くの社宅に住むので、観光地の良いところをたくさん見られた期間です。特に上高地に住むことは、なかなか経験できるものではありません。朝の上高地は、川霧が立ち込めるなか朝日に輝いて幻想的。ひとり占めしている気分で毎朝感動していました。
Interview03 お客さまにも、同僚にも。“みんなに優しい運転手”になりたい
私の目標は「誰に対しても優しく接する運転手」です。幅広い年代の、さまざまな状況にいるお客さまがバスに乗り合わせますので、適切な対応ができるように心がけたいと思っています。そして同様に、同僚にも思いやりを向けていきたいです。この2年間で、多くの運転手や営業所スタッフの方と仕事をしました。面倒見の良い方ばかりで、気さくに話しかけてもらえることが嬉しく、自分もそんな運転手になりたいと思っています。
また当然のことながら、運転技術も極めていかなければなりません。急ブレーキ、急発進しないなどの運転ももちろんですが、時間に沿った運行ができるように、スピードも味方につけたメリハリのある運転ができるようになりたいです。研修終了後は、松本市内の路線を担当することになりますが、平均して2~3年経験すると、高速バスにも携わることができます。今後、接客面でも技術面でも成長していきたいです。
Schedule 運転手の路上教習スケジュール(研修生)
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出勤
制服で出勤、気持ちを引き締めます。
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空車路上教習1回目
教習前にバスの点検と、点検簿の確認。教官と1日のスケジュールのミーティング後、ハンドルを握って「北市内線」へ出発。深志ヶ丘から深志高校裏に向かうカーブが難所。
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「松本駅お城口」停留所 到着
ほかの研修生に運転を交代。お互いが運転しているバスに乗車して勉強します。
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「松本駅お城口」停留所 到着
ほかの研修生に運転を交代。教官の指示をメモに残しながら。
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お昼休憩
運転手の先輩から声をかけてもらって談笑
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空車路上教習2回目
今度は「美ヶ原温泉線」へ。翔峰前から美ヶ原温泉までのカーブは下り坂。桜橋から先は電柱が道にせり出しているため、中央に寄って走る場合もある。午前中の反省を活かしながら出発。
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「松本駅お城口」停留所到着
ほかの研修生に運転を交代。夕方に向けて小中学生や高校生などの歩行者・自転車が増えてきます。道路交通状況によって到着時間は前後します。
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「松本駅お城口」停留所到着
ほかの研修生に運転を交代。運転で見習いたいところをメモ。
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空車路上教習3回目
信大横田(横田信大)循環線」へ出発。城下町の歴史を色濃く残すため、上土町付近のカーブや、萩原町から元原町に向かうカーブは道が細く、曲がりづらい道が多い。最後まで集中力を切らさずに安全運転。
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本社へ終着
車庫へバックで駐車、確認を怠らないように注意。1日の研修を終えます。
Profile プロフィール
バス運転手
H・D
子どもの頃からバスが身近にある生活を送っていたことや、ドライブが好きなことから地域で親しみのあったアルピコ交通のバス運転手を志望した。2022年「運転手候補」として入社。営業所は地元に近い松本営業所を希望し、配属された。普通免許取得3年後、会社の「免許取得制度」による2週間の合宿免許にて2024年1月に念願の「大型2種免許」を取得。取材時はバス運転手になるための研修中。

