Interview01 観光地の知識を積み重ねて、お客さまに合わせてご案内
バスガイドの主な仕事は、社員旅行や修学旅行、旅行会社の団体ツアーなどのお客さまのご案内です。例えば長野県周遊ツアーや、上高地やお隣の岐阜県の高山、奥飛騨温泉郷などを巡るツアー、県内小中学校の修学旅行に添乗し、車窓案内や観光案内をおこないます。
添乗時は、お客さまのニーズに合わせた柔軟な対応を心がけています。お客さまと会話をしながら興味や関心を探り、歴史が好きな方には歴史の話を、グルメ好きの方にはお土産情報を詳しく伝えるなどしています。
常に新しい知識を身に付け続ける必要があるため、研修は充実しています。県内小中学校の修学旅行の主な行き先である奈良・京都、東京や、県外からの修学旅行で案内する県内の観光地には、実際にバスで現地に訪問し、観光地情報や土地勘などを頭に入れて本番に備えます。
添乗や研修以外の時間は、今後予定されているツアーの準備に時間をあてています。どのような案内をしようか考えながら、ガイド用のテキストやネット、パンフレットなどで目的地の情報を調べて、自分なりに分かりやすいようにノートにまとめています。観光地について調べるうちに知識も深まり、行ってみたくなるので、添乗も楽しみになります。また、ノートが充実してくると自信にもつながります。
Interview02 春・秋は修学旅行シーズン。楽しい旅行をサポート
修学旅行の添乗は「バスガイドになったな」と思える瞬間です。「右手にあるのは東京タワーです」「左手に清水寺です」などと伝える有名観光地のガイドは憧れでした。また、生徒さんにとって修学旅行は学生時代の代表的な思い出にもなりますし、授業で事前学習をしていて気合が入っているのが分かりますので、それに応えたいと思っています。
当日は安全かつスムーズにご案内できるように、事前にスケジュールを把握したり、下見をしたりと、入念に準備をおこなっています。混み合う観光地でも、決まった時間内に生徒さんをご案内しなくてはなりませんので、先生方と協力して生徒をまとめながら必死になって先導しています。
さらに、バス内でも楽しんで過ごしてもらえるように、スケッチブックを使用した歴史紹介のレクリエーションを用意します。クイズ形式にしたり、写真や地図を使ったり、わかりやすい言葉をチョイスしたりと工夫を重ねています。修学旅行が終わると「楽しかった、ありがとう」「一緒に写真を撮ろう」などと話してくれる子どもたちも多く、とても温かい気持ちになります。
県内中学校の2泊3日の奈良・京都の修学旅行では、まんなかの日にタクシーで巡る班活動を組み込む学校が多く、その間ガイドはしばし休憩となります。お寺や観光地などの下見と合わせて、近くに気になるお店があれば行ってみたり、スイーツを食べに行ったりできるので、それも楽しみにしながら頑張っています。
下見では、観光施設のスタッフの方からは施設情報を丁寧に教えていただいたり、お土産などを実際に試食させていただいたりして、「お客さんをたくさん連れてきてね」と声をかけられます。コロナ禍が明けて、バスガイドの仕事へのさらなる期待を感じます。
Interview03 旅路をご一緒することで、大切な思い出の一部となる
バスガイドの仕事の魅力は、なによりお客さまに喜んでもらえること。例えばお客さまにご紹介したお土産を「おいしかったよ」とご報告いただいたり、ときにはおすそ分けをもらったりするなど、ダイレクトに反応をいただけるのが嬉しいです。
そして、お客さまの思い出の一部になる仕事でもあります。以前に、新婚旅行ぶりに松本をツアーで訪れたご夫婦がいらっしゃいました。20年ぶりとのことでしたが、当時のツアーガイドさんが一緒に作り上げたおふたりの思い出を繋いで、今度は私がまた新しい思い出の一部になれることは、とても尊いことだと思います。先輩から脈々と受け継がれている、バスガイドという仕事の素晴らしさを感じられました。
今後の目標は、いろんな場所の添乗を任されるようなバスガイドになること。遠方になればなるほど、いろんなところを経由するので、多くの知識が必要になります。
また、知識が増えていくことで、お客様に合わせたお話ができるので、お客さまとの会話が弾みます。コミュニケーションも深まりますので、楽しい時間を過ごしてもらうことにもつながります。
さらなる夢は、私の故郷を巡るツアーのバスガイド。そのツアーは現在のところ計画されていないのですが、生まれ育った故郷の良いところを、方言をふまえてご案内できたら、大きく成長できそうです。
Schedule バスガイドスケジュール(お花見ツアー、松本観光編)
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出勤
バスに積んだポットに水を入れる、掃除をするなどして、お客さまを迎える準備をします。ポットの水は、渋滞や事故などに遭遇した際の緊急時にも備えられます。
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出庫
お客さまが宿泊する松本市のホテルへ回送
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お客さまを乗せてお花見へ出発
今回のツアーは、長野県内の桜の名所を巡るツアー。前日は「高遠城址公園」を散策し、2日目の今日は松本市の桜の名所「弘法山」へ向かいます。私は松本市の担当として本日のガイドを任されます。
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「弘法山」へ到着
桜散策をご案内します。乗降時の安全確認や、バス誘導も大切な仕事です。
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出発し、バスから松本城や市内のご案内
車窓案内では、すでに私の目に入っているものをご案内していては、お客さまからはすでに見えない位置に過ぎ去ってしまっています。お客さまが見過ごさないように、タイミングよくご案内するのは難しいのですが、経験を重ねることで慣れていきます。車酔いもしなくなりました。
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ホテルでご昼食
添乗員はホテルでご用意いただいたお弁当をいただきます。
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松本城や縄手通り、中町通りを散策
ホテルから歩いて散策します。何度も松本市に訪れているお客さまが多いので、基本情報だけではなく新しい情報までご提供できるように工夫します。実際に私が買ってみて美味しかったお土産のご紹介や、地元店オリジナルのお菓子などのご紹介は喜ばれます。
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松本駅へ送迎
電車でお帰りになるお客さまを駅へ送迎します。送迎時は、旅の締めくくりとなるように、ツアーの思い出を振り返ります。駅で手に入るお土産の話もしています。
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退勤
車庫に戻り、バス車内を清掃して退勤します。出勤時間や勤務時間はツアーによりけり。朝早かったり、逆に昼からの出勤であったり、長いときもあれば短いときもあります。
Profile プロフィール
バスガイド
T・N
県外出身、短大進学で長野県へ。旅行が好きなことから、就活では「観光にかかわれる接客の仕事」を探していた。自然豊かで観光名所がたくさんある松本市に惹かれたとき、松本市の会社であるアルピコ交通を知って「バスガイド」の仕事に興味を抱いた。休日は県内外の旅行や、松本市内のカフェ巡りを楽しんでいる。プライベートの旅行で得られた情報は、ガイド時にも活かされている。